2012年7月26日木曜日

道路はつながってこそ

久しぶりのブログ更新です。このところ道路防災点検が目白押しです。東日本大震災や台風12号の影響で、あちらこちらで大きな被害が出ています。真夏の現地調査は日が長いのでしんどい。谷埋め盛土をあぶりだすようなクラックが発生していたり、やはり弱いとこころをついてくる。自然はやはり正直です。

2012年7月16日月曜日

地図は悪夢を知っていた


国土地理院の空中写真に、見事に旧河道があぶりだされた。

伊勢湾台風の水害時に、中日新聞は「地図は悪夢を知っていた」という大見出しをつけが、まさにそれを彷彿とさせる。

㈱パスコのHPに熊本県白川の浸水範囲(推定)の画像が掲載されています
これを治水地形分類図と比較すると、やはり氾濫平野の範囲とほぼ一致する。大洪水は繰り返される地形形成過程のヒトコマに過ぎない。

土砂災害も起こるべき場所で起こっているし、破堤や浸水も起こるべき場所で起こっていると思う。土と川の気持ちになって、動きが窮屈になったときどうふるまうのか、考えていく必要がある

2012年7月15日日曜日

故郷の水害

福岡県南部矢部川の水害史、特に昭和28年6月水害は、小中学校の社会科の時間に学習しましたし、父からも苦労話を聞きました。筑後川河川事務所の資料に、昭和28年6月水害の浸水範囲が示されているが、この当時私の実家があったら浸水していた。

あらためて自治体のハザードマップを見てみると、なんと、、町村合併とハザードマップ http://www.city.miyama.lg.jp/file/temp/7034 実は南側や、東側の高速道路沿いの白い部分、ここは合併後「みやま市域」になった範囲です。合併後、新しい市域に応じた独自の調査を進めるべき

2012年7月14日土曜日

定性的な古い資料

私の出身地である柳川市大和町でも大変な水害が発生しました。堤防が決壊した場所はCの字状の旧河道が発達する場所で、昭和51年度に作成された治水地形分類図には明記されていました。ところが、平成19年に作成された浸水想定区域図では、この地点の決壊は想定されておらず、浸水も想定されず。 川の気持ちになって、現場の経験を生かして作ったハザードマップのほうが役に立つこともあります。

2012年7月13日金曜日

災害の経験

 集中豪雨のたびに記録的という言葉が踊ります。今回の熊本の豪雨に関しては「経験のない」という言葉が出来てきました。確かに川の防災情報等で雨量を見ると、時間雨量100mm近い雨が5時間以上も続くなど、確かに強烈ではあります。
 但し、牛山先生の言葉を借りると、「デジャヴのように」1990年7月豪雨の再現のようにも見えます(いまのところですが)。当時の豪雨災害で、私たち砂防関係者の間では「一の宮」という地名は有名になりした。
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshwr1988/4/1/4_1_25/_pdf

 そして、白川の洪水氾濫は、おそらく昭和28年水害以来でしょう。59年経ちますが、経験のある方はおられるかもしれません。
 さらに言えば、山に侵食現象が発生し、平野を形成する。自然にとっては当たり前の営みです。”多少の記憶と記録にないこと”、必要以上に誇張されているように感じられてなりません。

2012年7月12日木曜日

情報洪水

「経験したことのないような雨」
また変な言葉が出てきました。極端気象だとか、こんなの初めてだとか、自然を形容する言葉をつむぐのは日本のお家芸だったのに、、、TVの報道も似たり寄ったりで、想像力を押し流す情報洪水も降りかかる洪水よりと同じくらい怖いことです。

2012年7月11日水曜日

篠突く雨

雨の降る様子が、地面に突きさしたようにまっすぐ生えている篠竹(野生の竹)のように、勢いのより激しい降り方をいいます

こんな日本語があると知りました。自然を理解した、激しくも粋な言葉です。マニュアル化された報道言葉を聞き飽きてうんざりしていたところでした。

2012年7月10日火曜日

OB ジオアドバイザー

今岡さんのブログで知りましたが、ジオ・アドバイザーなる制度が始まるようです。今岡さんは、その資格要件に”大きなため息”をもらしておられた?のですが、私はQ&Aのサイトをみて、嗚呼と思いました。

 http://www.web-gis.jp/geoadviser/qa.html
 お断り: 特定の地点を指定してのご質問では,地質図やハザードマップが容易に入手できない場合もあり得ます。調査報告をまとめるために多くの時間が必要となる場合では,予めご連絡の上,有料回答をお願いすることがあります。

 アドバイスを求める人は"駆け込む”ので、スピード感も大切だと思うのですが、、、妙に敷居が高いと、窓口が見えない場所に行ってしまって、フェアウェイにいる多くの技術者、相談者から見えなくなってしまうのでは、、、?

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もし一般の方からのアドバイスを求められたら

地質図やハザードマップは容易に入手できます。無理に紙でコピーしなくても情報を確認するだけでいいでしょ。情報を整理する技術ならいくらでも進んでいます。 それに、もし一般の方からの問合せを受け付けるのであれば、住宅地図が出てくれば良いほうです。私は殆ど住所だけを聞いて地形図を読図して(鈴木隆介先生ではないですが)して、現場で”オーバーメイドのハザードマップ”作りますよ。敷居が高いなあ

2012年7月9日月曜日

水害と洪水

地震の被害想定などでは、○○兆円の被害が出るという表現をよく耳にします。江戸時代にも○○両、米○俵が流失といった記録も多く見られるので、むかしから自然災害の規模を経済価値で測ってきたのでしょう。
 しかし、被害額は災害発生時の貨幣や資産の価値を反映するので、あまり客観的ではありません。それよりも土石流の氾濫範囲など、発生場の特徴を克明に記載した資料は意外なほど少ないのが実情です。いまでも内閣が浸水面積当たりの一般資産被害額の変遷を示しています。これをみると最近は被害が拡大しているように見えるのですが、、、どうでしょう、、、平成16年が特大であっただけ、逆に平成元年あたりはバブリーだったので資産価値が高いので、5年ごと機械的に分けるのは果たしてどうでしょうか
http://www.bousai.go.jp/hakusho/h22/bousai2010/html/zu/zu081.htm

2012年7月8日日曜日

第47回地盤工学研究発表会

上記の学会が青森県八戸市で開催されます。私の上司も発表します。

http://47jiban.org/program/pdf/program.pdf

ところで年度末に九州を中心に土検棒の問い合わせが相次いだのですが、最近減ってきました。どうも年度末のオファーは堤防強化の業務があったようです。

以前、砂防学会誌の技術ノートに、”地面下の情報は点になりがちで、手間のかかるわりには調査しても仕方がないといった現状である(途中略)。地味ではあるが現地調査法の開発(略)オーソドックスな研究が進められる必要がある”と記されています。この技術ノートの著者のお一方と話したこともありますが、結局崩壊の深度がわからんことには、、、ということでした。

表層崩壊予測のための土層調査例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sabo1973/46/1/46_1_38/_pdf

この論文のいうところの、現地調査法の開発に関する発表が、地盤工学会のDS-9であると思われます(下の画像URLは、太田さんのブログから転載)
http://livedoor.blogimg.jp/ohta_geo/imgs/2/0/209a3727.jpg

2012年7月7日土曜日

鈴木隆介先生の読図問題の問98

鈴木隆介先生の読図第4巻の巻末に、読図問題が100問掲載されています。その第98問目は、発生しうる地盤災害以外の自然災害を答えよというものでした。正解のひとつとしては、台風による風害が上げられていました。問われた場所は伊勢神宮内の境内なので、そう簡単に土石流や山腹崩壊、河川の洪水の及ぶ場所ではないのですが、いまとなっては津波はどうなのか、気になるところです。

2012年7月6日金曜日

日本全国の地盤情報データベースWeb-GISサービス

http://www.asahigs.co.jp/gspace/dataservice.html
24時間いつでも、どこからでも地盤情報をインターネットで閲覧できます。ボーリング、地質調査、地盤調査などの計画、事前把握、地震・土壌汚染リスクの調査解析、フェーズⅠ地歴調査にもご活用頂けます。

ということで、地盤や環境情報に関わる情報が一元管理されたサイトがあります。さくさく動くしこれは便利。月に4200円ですから、携帯代の半分くらいでしょうか。ただ、解説は必要です、、、

2012年7月5日木曜日

防災ケンミンショー

とも言うべき書籍が発売されました。県別見開きで分かりやすい構成になっています。

http://www.kankyo-c.com/topics/47risk/47risk.html

・掲載されている地図は、内閣府が発表した「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」をベースとして、都道府県全体の地盤の良し悪しがひとめでわかるように制作したものです。

・地震以外にも、津波、集中豪雨、火山噴火、地すべりなどの自然災害リスクの情報もふんだんに盛り込まれています。

・いくつかの地域では、古地図と最新の地図を比べることで、地域の変遷もわかるようになっています。

・裏表紙にもワンポイントアドバイス

2012年7月4日水曜日

いま中越の斜面はどうなっているか

    最近研究部会の活動で、中越地震で地すべりや急傾斜地の崩壊が集中した地域の地形解析を進めることになりました。久しぶりに中越地震直後の空中写真や航空レーザー計測地形図を見ているのですが、ふと、いまはどうなっているのだろうという考えがよぎりました。確かに直下型地震であり、これほど破壊された斜面もなかなかみることがなかったのですが、荒廃したのは地震直後だけ、地形発達史の時間スケールではほんの一瞬ではないでしょうか。現在植生が回復し、何度か豪雪の冬も越しましたから、不安定だった土砂は流され、地震以前の状態に大分近づいているのではないでしょうか。
  2004年中越地震は、地形発達史的観点からは斜面の不安定な贅肉をそぎ落としてくれたイベントだといえます。

2012年7月3日火曜日

地すべり発生危険度評価マップ

   土木研究所は地すべり発生の危険度を評価するにあたり、地すべり縁辺部の侵食率に着目した解析を行っています。

http://www.pwri.go.jp/team/niigata/dokensiryo4204_web.pdf
http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstruct/2010/pdf/O1-01.pdf

   確かに側部や末端部の侵食は斜面の不安定化に大きな影響を与えます。だけれども、上記の資料をみていると、広域に評価するという目的もあるのでしょうが、あまり泥臭いことはせずスマート(自動的に)答えを出したいという印象を持ちます。侵食も進みすぎると基盤岩が露出したり、地すべり移動土塊の解体といったレベル、すなわち安定化に向かうのですが、これはやはり現場であるい程度確かめるしかありません。
 ちなみに、資料では高田平野西部の丘陵を対象としていますが、今年3月に話題になった国川築の地すべりは、高田平野の南東部でした。研究対象地域のとなりで大きな変状がある、なぜかよくある話です。

2012年7月2日月曜日

人生はせいぜいタバコの長さで燃え尽きる

地球誕生46億年のスケールと人生を比べる表現はいろいろあるかと思いますが、鈴木隆介先生の本にある表現は、旅情があって素敵です

宗谷岬に立って生命誕生を想うとき、はるか桜島の噴煙に想いをはせなければならない。人類誕生は2km先に過ぎず、人生はせいぜいタバコの長さで燃え尽きる。

2012年7月1日日曜日

応用地質学会

会社の20代の若手が座長を務め、私も研究部会でポスターセッションを行うとあって、ひとあし先にプログラムを見ることができました。やはり東日本大震災や紀伊半島の豪雨災害を中心に、廃棄物処理、防災調査に関する発表が多くなっています。なかには海底地形図判読による巨大分布や地すべり説のある松島湾の地質調査もあります。現場に則したベーシックな発表が多くなっている印象です。