2010年10月27日水曜日

擬似岩塊流と堆砂断面

 応用地質学会の話を続けます。砂防の調査、あるいはその成果を見て、この断面はいくらなんでもとりすぎだろうと思うことがあります。土石流の規模を推定するために、その渓流の土砂移動状況を代表するところで、過去(あるいは現在)の土石流堆積物の幅、深さから、今後の豪雨でどの範囲まで土石流化するかを推定します。しかし、斜面の裾から裾までめいいっぱい断面として採用されている場合も多く見られます。
 応用地質学会では、『西日本における擬似岩塊流の形成過程についての検討』というポスター発表がありました。この発表では中国地方の渓床の擬似岩塊流の形成メカニズム(通常の河川堆積物なら下流に向かって粒径が小さくなるし、豪雨時においてもこの岩塊が動くほどの水流は考えられないことから、花崗岩の風下部のさらに下に堆積していたコアストーンが地表に露出した。その年代が前期更新世~鮮新世に及ぶ)が紹介されています。数百万年じっとしている堆積物。そういう発達史だから、土石流化しませんよということを、事業が成立しないことを理由に説明しない人もいますが、そんなことをするから”仕分けられる”のではないでしょうか。 

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